クルーズトレイン入門|ななつ星 in 九州・TRAIN SUITE 四季島・TWILIGHT EXPRESS 瑞風、三大豪華列車の違いと乗り方

最終更新: 2026年9月 / カテゴリ: コラム・考察

クルーズトレイン入門|ななつ星 in 九州・四季島・瑞風、三大豪華列車の違いと乗り方

💡 まずはここだけ!3つの要点

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ななつ星って名前は知ってたけど、そもそも「きっぷを買えない列車」だったのか...そこからもう知らんかったわ

日本には、時刻表を調べても乗り方がわからない列車が3本あります。窓口に並んでも買えず、ネットで空席を探しても出てこない。乗るには抽選に申し込んで、当たるのを待つ——そんな列車が、九州・東日本・西日本にそれぞれ1本ずつ走っています。ななつ星 in 九州TRAIN SUITE 四季島(しきしま)TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)。この3本をまとめて「クルーズトレイン」と呼びます。この記事では、そもそもなぜこんな列車が生まれたのかという話から、3本の性格の違い、乗るためのしくみ、そして「まだ乗れない人」が今日から楽しめる代わりの一本までを整理します。

ご注意: 本記事の情報は2026年9月時点のおおよその目安です。 運行コース・出発日・客室数・旅行代金・申込方法は変わることがあるため、最新情報は JR九州 をはじめとする各運行会社の公式情報でご確認ください。 ※ 本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。

夜行列車が消えた時代に、なぜ豪華列車が生まれたのか

2010年代の日本の鉄道は、長いあいだ「引き算」を続けていました。新幹線と飛行機が速くなり、ビジネスホテルが安くなるにつれて、夜をかけて走る寝台列車の役割は薄れていきます。北斗星、カシオペア、トワイライトエクスプレス——ブルートレインと呼ばれた名列車たちが、ひとつ、またひとつと定期運行を終えていきました。いま定期の寝台特急として残るのは、東京と山陰・四国をむすぶサンライズ出雲・瀬戸だけ、という状況です。

ところが同じ時期、まったく逆の動きが起きます。2013年、JR九州がななつ星 in 九州を走らせたのです。「移動のための夜行列車」が成り立たなくなったのなら、乗ること自体を旅の目的にしてしまえばいい——発想の向きを180度変えた列車でした。安く運ぶのをやめ、少人数を数日がかりでもてなす。鉄道会社が「運送業」ではなく「宿泊と観光を売る会社」の顔で出てきた瞬間です。

これが当たりました。予約は殺到し、豪華列車という新しいジャンルが日本にできてしまう。そして2017年、JR東日本がTRAIN SUITE 四季島を、JR西日本がTWILIGHT EXPRESS 瑞風を、数か月違いで相次いでデビューさせます。こうして、走るエリアが重ならない3本のクルーズトレインが日本列島に並ぶことになりました。夜行列車が消えていった10年は、見方を変えれば、鉄道が「速さ」以外の価値を本気で探し始めた10年でもあったわけです。

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ブルートレインが消えていった裏でこっちが生まれてたって、なんか皮肉やなぁ。でも言われてみれば納得やわ

三大クルーズトレイン 早わかり比較

まずは3本の違いを、ざっくり一覧で押さえておきましょう。デビュー年・運行会社・走る舞台・車両が、きれいに分かれているのがわかります。

列車 運行会社/デビュー 主な発着 走る舞台 キャラクター
ななつ星 in 九州 JR九州/2013年 博多 九州各地(由布院・阿蘇・霧島など) 日本初のクルーズトレイン。工芸品のような内装で九州をぐるりと周遊
TRAIN SUITE
四季島
JR東日本/2017年 上野 東日本一帯〜北海道方面 電化・非電化を選ばず走れる万能型。四季の移ろいをテーマにした旅
TWILIGHT EXPRESS
瑞風
JR西日本/2017年 京都・大阪・下関ほか 山陰・山陽(日本海側と瀬戸内) かつての名列車の名を継ぐ。展望デッキから山陰路の景色を味わう

3本に共通するのは、客室数が非常に少ないことです。いずれも1編成あたりの定員はおおむね30名前後(時期・仕様変更により変動)。10両近い長い編成に数十人しか乗らないので、1人あたりの空間の贅沢さは、ふつうの特急とは比べものになりません。そのかわり、乗れる人数もそれだけ限られる、ということでもあります。

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10両つないで30人ってホテルより贅沢やん。そら当たらんわけやで...

3本が走るエリアをマップで見る

九州・東日本・山陰山陽——クルーズトレインの舞台になる路線のおおよその走行位置を、地図上のシミュレーション表示でイメージできます。

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ななつ星 in 九州 — すべてはここから始まった

ななつ星 in 九州は、2013年10月にデビューした日本初のクルーズトレインです。博多駅を起点に、九州各地をめぐって戻ってくる周遊型の旅。名前の「ななつ星」には、九州7県、7両編成、そして九州が持つ7つの観光素材(自然・食・温泉・歴史文化・パワースポット・人情・列車)という意味が重ねられています。

この列車を語るうえで外せないのが、JR九州の車両を数多く手がけてきたデザイナー・水戸岡鋭治氏による内装です。組子細工や漆、九州の窯元の陶板といった工芸の技が車内のあちこちに使われていて、「乗り物」というより「走る工芸館」に近い密度。電化区間も非電化区間もある九州を自在に走るため、ディーゼル機関車が客車を引く昔ながらの編成をあえて採用しているのも特徴です。

行程では、途中の駅で降りて由布院や阿蘇、霧島といった土地を訪ね、地元の料理人が腕をふるう食事を車内や現地で楽しみます。夜は車内の客室で眠る日もあれば、提携する旅館に泊まる日もある——列車と土地を行き来しながら数日を過ごす、という組み立てです。コース内容や日数は時期によって見直されているので、興味を持ったらまずななつ星 in 九州の公式サイトで現在の設定を確認するのが確実です。

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水戸岡さんのデザイン、九州行くと駅でも列車でもやたら見かけるやつやな。あれの全部乗せってことか

TRAIN SUITE 四季島 — 電気でも自力でも走る、万能型の一本

TRAIN SUITE 四季島は、2017年5月にデビューしたJR東日本のクルーズトレイン。上野駅に設けられた専用ホームから出発し、東北・信越をはじめとする東日本一帯、さらに北海道方面まで足を伸ばすコースが設定されてきました。

技術面でいちばん面白いのは、車両(E001形)の走り方です。JR東日本の管内には、直流・交流の電化区間に加えて、架線のない非電化区間もあります。ふつうの列車ならどこかで乗り換えや機関車の付け替えが必要になるところを、四季島は電化区間では架線から電気をもらい、非電化区間では搭載したエンジンで発電して走るという方式で、一本のままどこへでも行けてしまう。「行きたい土地を車両の都合で諦めない」という思想が、そのまま設計に出ている列車です。

車内は、編成の両端に配置された展望車、木と光をいかしたラウンジ、専属シェフが腕をふるうダイニングなどで構成され、最上級の客室は上下2層のメゾネット仕様。「四季島」という名のとおり、春夏秋冬それぞれで訪れる土地と料理が変わる設計になっていて、同じ列車でも季節ごとに旅の顔が違うのが持ち味です。運行コースや出発日はTRAIN SUITE 四季島の公式サイトで公開されています。

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架線なくても自分で発電して走るって、言われてみたらすごい話やん。上野に専用ホームまであるの初めて知ったぞ

TWILIGHT EXPRESS 瑞風 — 名列車の名を継いで、山陰路をゆく

TWILIGHT EXPRESS 瑞風は、2017年6月にデビューしたJR西日本のクルーズトレインです。名前の「TWILIGHT EXPRESS」は、かつて大阪と札幌をむすんで人気を集めた寝台特急トワイライトエクスプレスから受け継いだもの。消えた名列車の名前を、まったく新しい列車に載せ替えたわけです。

走る舞台は、山陰と山陽。京都・大阪から日本海側をたどって下関方面へ抜けるコースや、瀬戸内をゆくコースなどが設定され、途中では城崎温泉や出雲、萩といった土地に立ち寄ります。編成の両端には、窓の外に出られる展望デッキを備えた車両を配置。風と潮のにおいを感じながら、日本海の夕景を眺められるのがこの列車ならではの体験です。中間にはラウンジカーとダイニングカーがあり、沿線の食材を使った料理が供されます。

ちなみにJR西日本は、瑞風とは別に、もっと気軽に長距離の旅を味わえるWEST EXPRESS 銀河という列車も走らせています。クルーズトレインと一般の特急の「中間」をねらった一本で、こちらは通常のきっぷやツアーで乗れる価格帯。瑞風の世界に興味を持ったけれど、いきなりは...という人にとっての現実的な入口になっています。瑞風のコース設定はTWILIGHT EXPRESS 瑞風の公式サイトで確認できます。

乗り方のしくみ — これは「きっぷ」ではなく「旅行商品」

ここが、クルーズトレインがふつうの列車といちばん違うところです。3本とも、みどりの窓口で特急券を買って乗る列車ではありません。食事・観光・ガイド・宿泊までを含んだひとつの旅行商品(ツアー)として販売されます。だから「片道だけ」「途中から」といった乗り方は基本的にできず、行程まるごとを申し込む形になります。

申し込みは、出発の数か月前に募集期間が設けられ、応募多数の場合は抽選というのが基本的な流れ。早い者勝ちではないので、発売日に回線と格闘する必要はないかわりに、申し込めば乗れるとも限りません。人気の高いコースや客室タイプでは、何度か申し込んでようやく当選、という話も珍しくないようです。旅行代金は客室タイプと日数によって大きく変わり、一般的な鉄道旅とは桁がひとつ違う水準になります。金額は時期によって改定されるため、具体的な代金は各列車の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

もうひとつ知っておきたいのが、旅の「陸の部分」も込みで設計されていること。途中で列車を降りて土地を訪ねる時間があり、コースによっては提携する旅館やホテルに泊まる日もあります。クルーズトレインの旅が高額なのは、車内の豪華さだけでなく、その土地の宿と食と案内までが一続きのパッケージになっているから、という側面もあるわけです。

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先着じゃなくて抽選なのは助かる...と思ったけど、当たらんかったら終わりってことでもあるんやな

まだ乗れない人へ — 「その手前」を楽しむ選択肢もある

正直なところ、クルーズトレインは「いつか乗りたいリスト」に入れておく列車です。ただ、この3本が切り開いた「乗ること自体が旅になる」という考え方は、いまや全国の観光列車に広がっていて、その多くは通常のきっぷや手の届く価格のツアーで乗れます。

そしてどの列車を選ぶ場合でも、旅の満足度を左右するのは降りたあとの拠点です。由布院、出雲、城崎温泉、萩——クルーズトレインが訪ねる土地は、そのまま名湯・名所の宿場でもあります。列車は抽選でも、その土地に泊まることは今日からできる。気になるエリアが決まったら、宿から先に押さえて旅を組み立ててみるのがおすすめです。

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まとめ — 次に駅で見かけたら、少しだけ見え方が変わる

ななつ星、四季島、瑞風。3本のクルーズトレインは、日本の鉄道が「速く運ぶ」以外の答えを探した先に生まれた列車です。夜行列車が次々と姿を消していく時代に、あえて速度を捨て、少人数を数日かけてもてなす方向へ振り切った。その選択が、いまや全国の観光列車の設計思想にまで広がっています。

だから、もし旅先の駅で黒い客車や深い緑の編成とすれ違うことがあったら、「高そうな列車だな」で終わらせずに、少しだけ思い出してみてください。あれは、消えていった寝台特急の後ろ姿を見ながら、鉄道会社が出した答えのひとつなのだと。そう思って眺めると、ホームですれ違う数十秒が、ちょっと違う時間に見えてくるはずです。

よくある質問

Q. クルーズトレインはきっぷだけで乗れますか?

いいえ。ななつ星 in 九州・TRAIN SUITE 四季島・TWILIGHT EXPRESS 瑞風の3本は、いずれも食事や観光を含む旅行商品(ツアー)として販売されており、乗車券・特急券を買って乗る列車ではありません(2026年9月時点)。片道だけの利用や途中からの乗車も基本的にできず、設定された行程をまるごと申し込む形になります。募集方法は各社の公式サイトで案内されています。

Q. 申し込めば必ず乗れますか?

いいえ。出発の数か月前に募集期間が設けられ、応募が多い場合は抽選となるのが基本です。先着順ではないため発売開始に張り付く必要はありませんが、人気のコースや客室タイプでは当選までに複数回申し込むこともあるようです。募集スケジュールや当選発表の時期は列車ごとに異なるので、公式サイトの募集要項をご確認ください。

Q. 3本のうち、初めてならどれがおすすめですか?

行きたいエリアで選ぶのがいちばん分かりやすいと思います。九州の温泉と工芸のもてなしならななつ星 in 九州、東北・北海道まで季節の風景を追いかけたいならTRAIN SUITE 四季島、日本海と瀬戸内の景色を展望デッキから味わいたいならTWILIGHT EXPRESS 瑞風。3本は走るエリアがほとんど重ならないので、「どこを旅したいか」で自然に決まります。

関連情報

本コラムは2026年9月時点の情報をもとに作成しています。 運行コース・出発日・客室仕様・旅行代金・申込方法などは変更されることがあるため、最新情報は各運行会社の公式サイトをご確認ください。