リゾートしらかみと五能線|日本海の絶景をゆく観光列車の楽しみ方(青池・橅・くまげら/十二湖・千畳敷・白神山地)
💡 まずはここだけ!3つの要点
- リゾートしらかみは秋田〜青森を五能線経由で結ぶ全車指定席の観光列車(快速)。日本海沿いをゆっくり走り、乗ること自体が旅になります
- 見どころは十二湖(青池)・千畳敷海岸・白神山地のブナ。車内では津軽三味線の生演奏や津軽弁の語りなどのイベントが行われる便もあります
- 編成は「青池」「橅(ブナ)」「くまげら」の3種類。全席指定なので、乗るなら早めの予約が安心です
普通の特急なら「速く着くこと」が正義ですが、この列車はその逆をいきます。日本海沿いの五能線を、ときに海すれすれ、ときに徐行しながら、片道おおよそ5時間かけてのんびり走る観光列車がリゾートしらかみ。この記事では、3つの編成の違いから車窓の見どころ、沿線の宿、予約のコツまで、絶景ローカル線の楽しみ方を整理します。
そもそもリゾートしらかみとは:五能線を主役にした列車
リゾートしらかみは、JR東日本が秋田駅と青森駅の間で運行している観光列車です。奥羽本線で秋田から東能代へ出て、そこから五能線に入って日本海沿いを北上し、川部で再び奥羽本線に合流して弘前・青森へと抜けていきます。城下町・秋田を出て、ねぶたの街・青森に着くまで、まるで一本の映画のような車窓が続く——それがこの列車の売りです。
そして忘れてはいけないのが、名前の由来にもなっている白神山地(しらかみさんち)。青森と秋田にまたがるブナの原生林で、世界自然遺産にも登録されている森です。リゾートしらかみは、その白神の裾野を海側からなぞるように走ります。「白神を車窓から感じる列車」だから、しらかみ。名前の理由がわかると、車窓の見え方も少し変わってきます。
運転される日は週末・祝日や行楽シーズンが中心で、平日は運休となる日もあります。乗ることそのものが目的になる列車なので、「移動のついで」ではなく「これに乗るための旅」として計画を立てるのがおすすめです。
3つの編成「青池」「橅」「くまげら」
リゾートしらかみには、キャラクターの違う3つの編成があります。どれに当たるかは列車ごとに決まっているので、狙いの編成があるなら、予約のときに列車名(号数)で確認しておくと確実です。まずはざっくり早わかり表で。
| 編成 | 愛称の由来 | タイプ(2026年時点) |
|---|---|---|
| 青池(あおいけ) | 十二湖の名所「青池」 | ハイブリッド車両(HB-E300系) |
| 橅(ブナ) | 白神山地のブナ林 | ハイブリッド車両(HB-E300系) |
| くまげら | 白神山地に生きるクマゲラ(キツツキの仲間) | ディーゼル気動車(改造車) |
「青池」と「橅」は、エンジンと蓄電池を組み合わせて走るハイブリッド車両。静かで加速もなめらかなので、車窓に集中したい人にはうれしいタイプです。一方の「くまげら」は昔ながらのディーゼルエンジンで走る編成で、独特の唸りと振動に「これぞローカル線」という味を感じる人も少なくありません。どれが正解ということはなく、当たった編成がその日の旅の相棒、くらいの気持ちで楽しむのが吉です。
3編成に共通するのは、海側に向けて大きく取られた窓と、ゆったりした座席。ボックス席や、窓に向かって座れるカウンター席を備えた編成もあり、どの席からでも日本海を眺めやすいように作られています。座席の細かな配置は編成や時期で変わることがあるので、こだわるなら予約時に最新の座席案内を確認してみてください。
走るルートと所要のイメージ
リゾートしらかみは、1日あたり数本の運転が基本です。多くは秋田〜青森を通しで走りますが、一部は弘前発着など区間が異なる便もあります。秋田〜青森を通しで乗ると片道はおおよそ5時間前後。特急なら短い区間ですが、この列車は途中の名所でゆっくり停まったり、絶景区間で速度を落としたりするぶん、時間をたっぷり使います。
運転日や発着時刻はシーズンによって変わり、平日は運休の日もあります。実際の運転カレンダーや時刻は、えきねっとやJR東日本の公式案内で事前に確認しておきましょう。ここでは、時刻ではなく「どんな順に何を通るか」を押さえておきます。
主な停車駅(秋田 → 青森方面)
秋田 → 東能代 → 能代 → あきた白神 → 十二湖 → 深浦 → ウェスパ椿山付近 → 千畳敷 → 鰺ヶ沢 → 五所川原 → 川部 → 弘前 → 新青森 → 青森
※ 主な駅を抜き出したイメージで、全停車駅ではありません。停車駅は便によって異なります。東能代から川部までが五能線の区間で、この間が旅のハイライトです。逆向き(青森 → 秋田方面)は、この順序をそのまま反対にたどります。
ちなみにバスケットボールの街として知られる能代では、停車時間を使ったちょっとしたお楽しみが用意される便もあります。こうした「駅ごとの小ネタ」も、急がない列車ならではの余白です。
車窓と見どころ:この列車のために停まる場所たち
リゾートしらかみの面白さは、「通り過ぎる景色」だけでなく「わざわざ停まって見せてくれる景色」があることです。代表的な見どころを、進む順に紹介します。
1. 十二湖と青池(十二湖駅)
白神山地の裾野に点在する大小の湖沼群が十二湖。なかでも有名なのが、吸い込まれそうなほど青い水をたたえた青池(あおいけ)です。なぜあの色になるのかは諸説あってはっきり解明されていないというのも、この名所のロマンをかき立てるところ。十二湖駅からは路線バスで少し入るので、青池までしっかり歩くなら、途中下車を前提に時間を取っておくのがおすすめです。
2. 千畳敷海岸(千畳敷駅)
地震で隆起した岩棚が、まるで千枚の畳を敷いたように海に広がる千畳敷海岸。リゾートしらかみは一部の便でこの千畳敷に少し長めに停車し、ホームから降りて海辺の岩場を散策できる時間が設けられることがあります。列車を降りて、潮風のなかを数分歩いてまた乗り込む——この「途中下車ごっこ」が、なんとも旅らしい体験です(停車の有無や時間は便により異なります)。
3. 日本海すれすれの絶景区間と白神山地
深浦から鰺ヶ沢にかけての海沿いは、線路と波打ち際がぐっと近づく区間。晴れた日の午後なら、海に沈む夕日に向かって走るような時間帯に当たることもあります。窓いっぱいの水平線に、思わず会話が止まる瞬間です。山側に目を向ければ、世界自然遺産・白神山地のブナの森が広がり、海と森を一度に味わえるのが五能線ならでは。写真を狙うなら、進行方向に対して海側の座席を選んでおくと後悔が少ないはずです。
4. 車内で出会う津軽の文化
景色だけではありません。青森県内の区間などでは、津軽三味線の生演奏や、津軽弁の語り部(かたりべ)による昔話の披露といった車内イベントが行われる便もあります。力強い三味線の音色や、聞き取れそうで聞き取れない津軽弁の響きは、その土地に近づいていることを五感で教えてくれます。実施の有無や内容は時期・便によって変わるので、期待しすぎず、当たったらラッキーくらいで楽しむのがちょうどよい塩梅です。
沿線で泊まる:深浦・不老ふ死温泉・弘前・青森
片道5時間の列車旅は、日帰りで往復するよりどこかで一泊して回るほうが断然ラクですし、味わいも深くなります。沿線には、旅の目的地になる宿がいくつもあります。
- 黄金崎不老ふ死温泉(艫作/深浦エリア): 日本海に突き出すように作られた露天風呂が名物。波打ち際で、水平線に沈む夕日を眺めながら湯に浸かる体験は、この沿線を代表する一枚になります
- 深浦・鰺ヶ沢の海辺の宿: 日本海の海の幸を味わえる港町の宿。マグロや旬の魚を目当てに泊まる価値があります
- 弘前: 弘前城と桜、レトロな洋館めぐりが楽しい城下町。青森市とセットで津軽側の拠点にしやすい町です
- 青森・秋田: 発着駅である両都市も、ねぶた・青森の海鮮、きりたんぽ・竿燈まつりなど見どころが多く、前泊・後泊の起点にぴったりです
宿は季節やイベント時期によって埋まり方がまったく変わります。まずは楽天トラベルなどで沿線エリアの宿を眺めて、相場感と空き状況をつかんでおくと、列車の予約とセットで計画が立てやすくなります。
予約ときっぷのコツ
リゾートしらかみは全車指定席です。乗るには乗車券に加えて指定席券が必要で、席数が限られるため、行楽シーズンや連休は早い段階で満席になります。特に人気の高い編成・時間帯を狙うなら、発売と同時に動くくらいのつもりでいると安心です。
- 発売開始: 乗車日のおおむね1ヶ月前が目安。えきねっとやみどりの窓口などで購入できます
- 座席: 日本海を眺めるなら、進行方向に対して海側の席を。ボックス席は複数人での旅に、カウンター席は一人旅にも向きます
- 快速なので18きっぷとも好相性: リゾートしらかみは特急ではなく快速列車。青春18きっぷなどの企画きっぷに、別途指定席券を足す形で乗れる期間・条件があります。使えるきっぷの詳細は購入時に確認を
運転日そのものが限られる列車なので、「宿と列車、どちらを先に押さえるか」で迷ったら、まず列車の運転日と指定席を確保し、それに宿を合わせるのがこの旅の鉄則です。宿より列車のほうが融通がきかないためです。実際の発売日・きっぷの取り扱いは、公式の最新案内でご確認ください。
まとめ:急がない旅のための、5時間のごほうび
リゾートしらかみと五能線の旅は、目的地に速く着くための移動ではありません。海と森のあいだをのんびり進む時間そのものが目的で、青池の青、千畳敷の岩場、津軽三味線の音色、水平線に沈む夕日——そのひとつひとつが、5時間のあいだにゆっくり手渡されていきます。
どの編成に当たるかは運まかせ、車内イベントも便しだい、絶景も天気しだい。思いどおりにならない要素が多いぶん、当たったときの嬉しさが濃いのがこの列車です。日程に余裕があるなら、日帰りで駆け抜けず、深浦か弘前あたりで一泊して、海の幸と温泉まで含めて味わい尽くすのがおすすめ。次に東北の地図を眺めるときは、日本海側になぞられた五能線の細い線を探して、「ここをのんびり5時間」と想像してみてください。その時点で、旅はもう始まっています。
よくある質問
Q. リゾートしらかみは毎日運転していますか?
運転日は週末・祝日や行楽シーズンが中心で、平日は運休となる日もあります。日によって運転本数や区間も変わるため、乗りたい日に走っているかを、事前に公式の運転カレンダーで確認するのがおすすめです。
Q. 指定席券なしで乗れますか?
リゾートしらかみは全車指定席のため、乗車券のほかに指定席券が必要です。空席があれば当日でも購入できる場合がありますが、人気の列車なので、確実に乗るなら事前予約をおすすめします。
Q. 青春18きっぷで乗れますか?
リゾートしらかみは特急ではなく快速列車のため、青春18きっぷなどの普通・快速に乗れる企画きっぷに、別途指定席券を加える形で利用できる期間・条件があります。ただし取り扱いは時期やきっぷの種類で異なるので、購入時に最新の条件をご確認ください。
Q. 海が見えるのは進行方向のどちら側ですか?
五能線の区間では、進行方向に対して海側(秋田から青森へ向かう場合は主に左側)に日本海が広がる場面が多くなります。ただし線形によって見え方は変わるので、絶景を写真に収めたいなら、予約時に海側の席を選んでおくと安心です。
関連情報
本記事は2026年8月時点の情報をもとに整理した観光列車・旅行プランの解説コラムです。 運転日やダイヤ、本数、車内イベントの実施、料金、観光施設の営業状況は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
- リゾートしらかみの運転日・時刻・きっぷ: JR東日本「えきねっと」や各駅の窓口でご確認ください
- 五能線・沿線観光の情報: JR東日本公式サイトや各自治体・観光協会の公式情報をご確認ください