鎌倉・江ノ島を電車で回る旅|江ノ電・小田急・横須賀線の使い分けと「行きと帰りで会社を変える」一筆書きルート
💡 まずはここだけ!3つの要点
- 鎌倉の玄関はJR横須賀線、江ノ島の玄関は小田急。その間の約10kmを江ノ電が海沿いにつないでいます
- 行きと帰りで鉄道会社を変え、鎌倉と江ノ島を「一筆書き」で回ると、同じ道を戻らずに済みます
- 週末の午後は江ノ電の鎌倉駅が混みやすいので、鎌倉は朝に回り、江ノ島から小田急で帰る順番がおすすめです
鎌倉と江ノ島は、地図で見ると目と鼻の先です。それなのに、いざ電車で行こうとすると、JR・小田急・江ノ電・湘南モノレールと選択肢が多すぎて迷います。実はこのエリアは、3つの鉄道に役割がきれいに分かれています。それぞれの役割を知って順番を決めれば、旅は「行ったり来たり」から「一筆書き」に変わります。
鎌倉の玄関、江ノ島の玄関、そして間をつなぐ電車
まず、このエリアの鉄道を「役割」で整理してみます。主役は3つです。
JR横須賀線:鎌倉の玄関
東京・品川・横浜方面から鎌倉へまっすぐ入れるのが、JR横須賀線です。東京駅から鎌倉駅まではおおよそ1時間、横浜からなら30分弱が目安。新宿・渋谷方面からは、湘南新宿ラインの逗子行きなど横須賀線に直通する列車に乗れば、乗り換えなしで鎌倉に着きます。鎌倉駅のひとつ手前には北鎌倉駅があり、円覚寺や建長寺といった鎌倉五山の禅寺へは、こちらが入り口になります。
小田急江ノ島線:江ノ島の玄関
新宿や町田、相模大野など小田急沿線から江ノ島へ向かうなら、小田急江ノ島線の終点・片瀬江ノ島駅が玄関です。竜宮城をかたどった駅舎を出ると、江の島へ渡る弁天橋はすぐそこ。途中の藤沢駅で列車の進行方向が変わるのも、この路線の小さな名物です。週末には、新宿から特急ロマンスカー「えのしま」も走っています。
江ノ電:鎌倉と江ノ島をつなぐ
そして、鎌倉と藤沢の間を海沿いに結ぶのが江ノ島電鉄、通称「江ノ電」です。全線でおよそ10km、15駅。端から端まで乗っても30分強の、こぢんまりとした路線です。ほぼ全線が単線で、途中の駅で上下の電車がすれ違いながら、日中はおおむね12分間隔で走っています。家の軒先をかすめ、海岸線をなぞり、ときには道路の真ん中を走る。移動手段でありながら、乗ること自体が観光になる電車です。
ちなみに「えのしま」と読める駅は、このエリアに3つあります。小田急の片瀬江ノ島、江ノ電の江ノ島、湘南モノレールの湘南江の島。どれも島の対岸にあり、それぞれ歩いて行き来できる距離ですが、同じ駅ではありません。待ち合わせのときは、どの「えのしま」かを確かめておきましょう。
答えは「一筆書き」:行きと帰りで会社を変える
3つの役割が見えると、回り方の答えも自然に出てきます。片方の玄関から入り、江ノ電で移動して、もう片方の玄関から帰る。往復で同じ鉄道を使うのではなく、行きと帰りで鉄道会社を変えるのです。こうすると、同じ区間を戻る時間がまるごと浮き、そのぶん寄り道に使えます。
おすすめの順番:朝に鎌倉、夕方に江ノ島
向きはどちらでも一筆書きになりますが、迷ったら「鎌倉から入って、江ノ島から帰る」順番がおすすめです。理由は2つあります。
- 混雑を避けやすい: 週末の江ノ電は、昼から午後にかけて鎌倉駅で乗車待ちの列が伸びやすくなります。朝のうちに鎌倉を回って江ノ電に乗ってしまえば、いちばん混む時間帯の鎌倉駅を避けられます。
- 帰りに座りやすい: 小田急の片瀬江ノ島駅は終点なので、帰りの電車はこの駅が始発です。歩き疲れた夕方に、座って帰れる可能性が高くなります。
夕方の江の島は、海に沈む夕日と、晴れた日には遠くの富士山のシルエットが楽しめる時間帯でもあります。旅の最後に海辺の景色を持ってくると、一日の締めくくりとしても気持ちよく終われます。
モデルルート(東京・横浜方面から)
JR横須賀線で北鎌倉へ → 円覚寺・建長寺を歩いて鶴岡八幡宮・小町通りへ → 鎌倉駅から江ノ電 → 長谷で途中下車して高徳院(鎌倉大仏)・長谷寺 → 江ノ電で江ノ島へ → 江の島を散策 → 片瀬江ノ島から小田急で帰る。
小田急で新宿方面へ帰るなら、行きのJRと帰りの小田急がそのまま一筆書きになります。横浜方面へ帰る場合も、小田急で藤沢に出ればJR東海道線に乗り換えられます。
モデルルート(新宿・小田急沿線から)
小田急沿線に住んでいる人は、逆向きが自然です。小田急で片瀬江ノ島へ → 朝の江の島を散策 → 江ノ電の江ノ島駅から鎌倉方面へ → 長谷・鎌倉を回る → 鎌倉駅から横須賀線・湘南新宿ラインで帰る。この向きの場合は、鎌倉側に着く時間が午後の混雑にかかりやすいので、江の島を早めに切り上げるのがコツです。
江ノ電は「乗る観光」:途中下車したい駅と海側の席
一筆書きの真ん中を担う江ノ電は、ただの連絡線ではありません。鎌倉駅を出てしばらくは住宅地の間を縫うように走り、極楽寺の先でトンネルを抜けると、ある地点から窓の外に海が開けます。この瞬間のために乗る人がいるほどです。
- 長谷: 高徳院(鎌倉大仏)と長谷寺の最寄り駅。鎌倉観光の定番で、途中下車するならまずここです。
- 極楽寺: 小さな木造駅舎が残る、江ノ電らしい風景の駅。紫陽花の季節は特ににぎわいます。
- 稲村ヶ崎・七里ヶ浜: 車窓に海が広がる区間。駅を降りて海岸を歩くと、江の島と、晴れていれば富士山が見えます。
- 鎌倉高校前: 海を背にした踏切がアニメの舞台として知られ、国内外から人が集まる駅です。踏切や道路での撮影は通行の妨げにならないよう、地元から繰り返しマナーが呼びかけられています。
- 腰越〜江ノ島: 江ノ電が道路の真ん中を、車と並んで走る区間。路面電車のような光景が見られます。
海を眺めたいなら、席の向きも大事です。鎌倉から藤沢方面へ向かうときは進行方向の左側、逆向きなら右側が海側になります。混雑で座れなくても、海側の窓の近くに立てれば車窓は十分楽しめます。
きっぷは「どこから来るか」で選ぶ
交通系ICカードでもそのまま乗れますが、江ノ電で何度か途中下車するなら、フリーきっぷも検討の価値があります。代表的なのは次の2つです(2026年10月時点)。
| きっぷ | 乗り放題の範囲 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 江の島・鎌倉フリーパス(小田急) | 発駅〜藤沢の小田急線往復に、藤沢〜片瀬江ノ島の小田急線と江ノ電全線の1日乗り降りがセット | 小田急沿線から、行きも帰りも小田急を使う人 |
| のりおりくん(江ノ電) | 江ノ電全線が1日乗り降り自由(スマホで買えるデジタル版もあり) | JRで鎌倉へ入るなど、江ノ電だけを何度も乗り降りしたい人 |
ここで一筆書きとの相性に注意が必要です。江の島・鎌倉フリーパスは小田急の往復が前提なので、「行きはJR、帰りは小田急」という回り方とはかみ合いません。一筆書きで回るなら、江ノ電の区間だけのりおりくんを使うか、ICカードで乗るのが基本です。反対に、小田急沿線から往復するなら、フリーパスで藤沢から江ノ電を往復する回り方も十分ありです。料金や発売条件は変わることがあるので、購入前に江ノ島電鉄や小田急電鉄の公式サイトで確認してください。
江ノ電は観光客だけの電車ではない
江ノ電の旅には、もうひとつ知っておきたいことがあります。この電車は、沿線に暮らす人たちの通勤・通学・買い物の足でもあるということです。
観光客が集中する大型連休などには、鎌倉駅で入場が制限され、駅の外まで乗車待ちの列が伸びることがあります。鎌倉市はこの対策として、沿線住民などが市の発行する証明書を見せると駅構外の列に並ばずに入場できる社会実験を、大型連休を中心に続けてきました。2026年のゴールデンウィークにも実施されています(この年は入場制限が行われず、優先入場には至らなかったとされています)。
旅行者にできる工夫もあります。
- 時間をずらす: 混雑のピークは週末の昼から午後。朝早めに動くか、平日に訪れると江ノ電の車内も駅も落ち着いています。
- 鎌倉駅以外から乗る: 鎌倉〜長谷は2駅分で、歩いて移動することもできる距離です。鎌倉駅が混んでいたら、長谷まで歩いてから乗るのもひとつの手です。
- 湘南モノレールという別ルート: JRの大船駅から湘南モノレールに乗れば、江ノ電を使わずに3つ目の「えのしま」駅・湘南江の島へ出られます。ぶら下がって走る懸垂式モノレールで、山あいを抜けていく車窓も見どころです。
朝の静けさを味わうなら一泊もあり
日帰りでも十分回れる鎌倉・江ノ島ですが、一泊すると旅の質が変わります。観光客が増える前の朝の鶴岡八幡宮や、人の少ない江ノ電に乗れるのは、近くに泊まった人の特権です。鎌倉駅周辺や江の島・片瀬海岸のあたりに泊まれば、混雑のピークを避けて回る計画がぐっと立てやすくなります。
泊まる場所は、一筆書きの「終点側」に取るのがコツです。1日目の夕方に江の島へ着いて片瀬海岸周辺に泊まり、2日目の朝に空いている江ノ電で鎌倉へ向かう。そんな組み立てなら、2日間とも混雑とは逆の流れで動けます。
まとめ
鎌倉・江ノ島の鉄道は、役割で整理すると迷わなくなります。
- JR横須賀線: 東京・横浜方面からの鎌倉の玄関。北鎌倉から寺めぐりを始められる
- 小田急江ノ島線: 新宿・小田急沿線からの江ノ島の玄関。終点の片瀬江ノ島は帰りに座りやすい
- 江ノ電: 鎌倉と江ノ島をつなぐ「乗る観光」。長谷・極楽寺・七里ヶ浜で途中下車したい
- 回り方: 行きと帰りで会社を変える一筆書き。迷ったら朝に鎌倉、夕方に江ノ島
次に鎌倉へ向かうときは、帰りのきっぷのことを少しだけ先に考えてみてください。来た道を戻らないと決めるだけで、江ノ電の車窓は「移動」から「旅の真ん中」に変わります。最新の運行情報やきっぷの内容は、江ノ島電鉄・小田急電鉄・JR東日本の公式サイトでご確認ください。
関連情報
本記事は2026年10月時点の情報をもとに個人が整理した解説コラムです。 最新の運行状況・運賃・きっぷの発売条件・駅の混雑対策等は、必ず公式情報でご確認ください。