36ぷらす3完全ガイド|曜日ごとに行き先が変わる5ルートの停車駅・黒い787系の座席と新6号車・ランチプランとグリーン席プランの予約、5日で九州7県をめぐるJR九州の観光列車の乗り方
💡 まずはここだけ!3つの要点
- 36ぷらす3は、曜日ごとに違うルートを走るJR九州の観光列車。木曜から月曜までの5日間で九州7県をめぐる
- 1本の乗車は片道おおよそ2時間半〜6時間半。食事つきのランチプランと、きっぷで乗るグリーン席プランがある
- 2026年9月に6号車が個室に生まれ変わり、熊本地震で運休していた木曜ルートも11月5日に再開予定
36ぷらす3は、JR九州が運行する観光列車です。真っ黒な車体の6両編成で、乗るのは1日がかり。そして何より、曜日によって走る路線そのものが変わるという、ほかにあまり例のない列車です。この記事では、5つのルートと停車駅、座席、予約のしかたを順に解説します。
月曜と木曜で、行き先がまるで違う列車
ふつうの列車は、毎日同じ線路を同じ方向へ走ります。36ぷらす3はそうではありません。木曜日には博多から鹿児島中央へ、金曜日には鹿児島中央から宮崎へ、土曜日には宮崎から別府へ、日曜日には大分から博多へ戻り、月曜日には博多と佐世保を往復します。1週間のうち5日をかけて、九州をぐるりと一周するのです。
名前の由来もこの「九州」にあります。九州は世界で36番目に大きい島。そこに、乗る人・沿線の人・JR九州の3者を足すと「39(サンキュー)」になり、感謝の気持ちを込めた、というのが公式の説明です。デザインは、ななつ星 in 九州や或る列車を手がけた水戸岡鋭治氏。2020年10月にデビューした、JR九州の「D&S列車(デザイン&ストーリー)」の一つで、電車としてはこのシリーズ初の観光列車になりました。
もとになった車両は787系。1992年に鹿児島本線の看板特急「つばめ」としてデビューした、九州を代表する特急電車です。かつて博多と西鹿児島(いまの鹿児島中央)を少しでも速く結ぶために走った車両が、いまは九州の各地で駅に長く停まり、寄り道をしながら一日をかけて走っています。
運行会社と運行区間
- 運行会社: JR九州(木曜ルートの八代〜川内は肥薩おれんじ鉄道の線路を走る)
- 運行区間: 曜日ごとに5ルート(博多・鹿児島中央・宮崎・大分・佐世保ほか)
- 使用車両: 787系を改造した6両編成の電車(車体は黒)
- 運行頻度: 基本は木曜〜月曜の週5日、各ルート1日1本(月曜は往復)。運休日もある
- 所要時間: 片道おおよそ2時間半〜6時間半(ルート・便により異なる。途中駅での長い停車を含む)
- 乗り方: 食事つきの旅行商品「ランチプラン」と、きっぷで乗る「グリーン席プラン」の2本立て
曜日別の5ルートと主な停車駅
5つのルートには、それぞれ色の名前がついています。停車駅は2026年3月改正時点の公式案内にもとづく主なもので、途中駅での乗り降りはルートやプランによって制限があります。
| 曜日・ルート | 主な停車駅 | 長めに停まる駅・見どころ |
|---|---|---|
| 木曜 赤の路 | 博多 → 玉名 → 熊本 → 牛ノ浜 → 鹿児島中央 | 玉名・牛ノ浜でそれぞれ20分ほど。八代から先は肥薩おれんじ鉄道で不知火海・東シナ海沿いへ |
| 金曜 黒の路 | 鹿児島中央 → 霧島神宮 → 大隅大川原 → 宮崎 | 霧島神宮で25分ほど、大隅大川原で45分ほど。嘉例川駅の駅弁「百年の旅物語 かれい川」を事前予約できる |
| 土曜 緑の路 | 宮崎空港 → 宮崎 → 延岡 → 宗太郎 → 重岡 → 大分 → 別府 | 大分・宮崎の県境の山あいにある宗太郎に特別停車。重岡で20分ほど |
| 日曜 青の路 | 大分 → 別府 → 杵築 → 中津 → 門司港 → 小倉 → 博多 | 門司港で80分ほど停まり、レトロ地区を散策できる。中津・杵築にも停車 |
| 月曜 金の路 | 【午前便】博多 → 佐賀 → 肥前浜 → 武雄温泉 → 上有田 → 早岐 → 佐世保 【午後便】佐世保 → 早岐 → 有田 → 武雄温泉 → 佐賀 → 新鳥栖 → 鳥栖 → 博多 | 午前便は酒蔵の町・肥前浜で50分ほど。午後便はビュッフェ営業がある |
時間帯の目安としては、木曜の赤の路は博多を朝に出て夕方に鹿児島中央へ、日曜の青の路は大分を午前中に出て夕方に博多へ着きます。最新の時刻は 公式サイトの「運行ルート・ダイヤ」 でご確認ください。
- 宗太郎(緑の路): 大分・宮崎の県境の山中にある、ふだんは普通列車がごくわずかしか停まらない駅。特急として走る列車がここに停まるのは、36ぷらす3ならでは
- 門司港(青の路): 線路の行き止まりの駅で、列車はここで向きを変える。そのあいだの80分ほどが散策の時間になる
- 牛ノ浜(赤の路): 肥薩おれんじ鉄道の、東シナ海がすぐ目の前に広がる小さな駅
車両と座席 — 6両それぞれが別の部屋
外観は光沢のある黒一色。車内は木をふんだんに使い、九州の伝統工芸の組子や畳などが随所にあしらわれています。号車ごとに座席のつくりがまったく違うので、どこに乗るかで旅の雰囲気が変わります(2026年10月時点の公式案内による)。
| 号車 | つくり | 向いている人 |
|---|---|---|
| 1号車 | 畳敷きのグリーン個室(3〜4名用)。靴を脱いで上がる | 家族・友人グループ |
| 2号車 | グリーン個室(3〜6名用)。車いす対応の席もある | 大人数のグループ |
| 3号車 | グリーン個室(1〜2名用)と、九州の名産や軽食を扱うビュッフェ | 2人旅 |
| 4号車 | マルチカー。乗客みんなが使える共用スペースで、沿線の紹介や車内イベント・体験が行われる | 全員(予約した人は誰でも利用可) |
| 5号車 | グリーン席(1列+2列)。きっぷで乗るグリーン席プランの車両 | 1人旅・気軽に乗りたい人 |
| 6号車 | 2026年9月に生まれ変わった1〜2名用のグリーン個室(10室)。プレミアムランチプラン専用 | 記念日の旅 |
6号車は、もともと畳敷きのグリーン席でした。2026年のリニューアルで、ガラスの仕切りとフローリングの床をもつ個室に改められ、食事つきの「プレミアムランチプラン」専用になっています。4号車のマルチカーでは、ルートごとに九州のお茶や梅、和紙などをテーマにした体験(有料のものもある)が当日申し込みで行われます。
予約のしかた — 「食事つき」と「きっぷ」の二本立て
36ぷらす3には、乗り方が2種類あります。同じ列車でも、選ぶプランによって座る号車も、発売のタイミングも、締切も違います(2026年10月時点)。
ランチプラン(食事つきの旅行商品)
- 座席: 1〜3号車の個室など。6号車は上位の「プレミアムランチプラン」
- 中身: 乗車と、沿線の料理店などが手がける食事がセット。JR九州が企画する旅行商品で、きっぷとしては売られていない
- 発売: 半年ほどの運行分をまとめて発売する形が基本(例年、10月〜2月運行分は7月ごろ)
- 締切: 専用サイトからは出発の5日前まで。旅行会社のツアーとして申し込む方法もある
- 乗車のしかた: 予約後にダウンロードする乗車証をスマホで見せる(または印刷する)
グリーン席プラン(きっぷ)
- 座席: 5号車のグリーン席
- 中身: 食事なしのJR券。車内のビュッフェや持ち込みで食事をとる
- 発売: 乗車日の1か月前の朝10時から。JR九州のインターネット列車予約やみどりの窓口で
- 注意: 博多〜鹿児島中央・熊本〜鹿児島中央など、JR九州の窓口とインターネットでしか買えない区間がある
人気の列車なので、希望の日が満席ということも珍しくありません。2026年10月22日からは、ランチプランの予約画面で空席通知(キャンセルなどで条件に合う空きが出るとメールで知らせる機能)が使えるようになりました。JR九州Web会員の登録が必要で、5号車のグリーン席プランは対象外です。
2026年秋の運行状況
2026年の36ぷらす3は、波乱の一年でした。6号車のリニューアルで夏に長く運休したあと、9月の再始動を目前にした7月28日に令和8年熊本地震が発生。熊本を通る木曜の赤の路と、金曜の黒の路は9月の運転をすべて取りやめました。
その後、緑・青・金の路は9月に、黒の路は10月に運転を再開。最後まで残った赤の路も、JR九州が2026年10月6日に11月5日(木)からの運行再開を発表し、これで5つのルートがすべてそろう見通しです。10月の木曜日は全区間で運休となっています。
着いてからの旅 — 九州の5つの終着地
36ぷらす3は片道の列車なので、終着地でそのまま泊まる旅程が組みやすいのが特徴です。ルートを選ぶことは、その日の泊まり先を選ぶことでもあります(所要は2026年10月時点の目安です)。
- 鹿児島(赤の路の終点): 天文館で黒豚や白熊、翌日は桜島へフェリーで。次の日の黒の路に乗り継げば、霧島を経て宮崎へ
- 宮崎(黒の路の終点): 青島や鵜戸神宮へは日南線・バスで。チキン南蛮と地鶏で一日を締めくくる
- 別府(緑の路の終点): 着けばそのまま温泉街。地獄めぐりや、とり天・冷麺で別府らしい夜を
- 門司港・博多(青の路): 門司港レトロは途中の散策で。博多に着いたら屋台やもつ鍋へ
- 佐世保(金の路の午前便): 九十九島の眺めと佐世保バーガー。午後便で博多へ戻る日帰りも組める
次に博多駅で黒い列車を見かけたら
5つのルートをすべて乗り継ぐと、九州7県をひと回りすることになります。ただし、それには木曜から月曜までの5日間が必要です。多くの人は1つのルートに乗り、残りは「また今度」になります。それでよいのだと思います。この列車は、曜日を変えるたびに別の九州を見せてくれるからです。
かつて「つばめ」として、九州を最短時間で縦に貫いていた787系。いまは同じ車両が、門司港で80分、大隅大川原で45分と、わざと駅に長く停まりながら九州を一周しています。次に博多駅のホームで黒い6両を見かけたら、まず今日が何曜日かを思い出してください。それで、この列車がどこへ向かうのかが分かります。
乗りたいルートが決まったら、楽天トラベルなどで終着地の宿の目星を先につけ、列車の運転日と組み合わせていくと計画が立てやすくなります。
よくある質問
Q. 36ぷらす3は毎日走っていますか?
いいえ。基本は木曜から月曜の週5日で、曜日ごとにルートが決まっています。火曜・水曜は運転がなく、ほかにも運休日があります。公式サイトの運転カレンダーで確認してから旅程を組むのが確実です。
Q. 食事なしで乗ることはできますか?
できます。5号車のグリーン席プランは食事を含まないきっぷで、乗車日の1か月前から買えます。車内では3号車のビュッフェを利用でき、飲食物の持ち込みもできると案内されています。
Q. 途中の駅から乗ったり降りたりできますか?
ランチプランでは、乗れる途中駅(熊本・霧島神宮・宮崎・別府・佐賀)と降りられる途中駅(大分・小倉・肥前浜・武雄温泉・早岐)が決められています。グリーン席プランはきっぷの条件によるため、購入時に確認してください。
Q. 一番乗りやすいルートはどれですか?
博多から日帰りで楽しむなら、月曜の金の路が組みやすいルートです。午前便で佐世保へ行き、午後便で博多へ戻れます。日曜の青の路も、門司港の散策をはさんで夕方に博多へ着くため、九州旅行の最終日に乗って新幹線や飛行機につなげる使い方ができます。
Q. 九州のほかの観光列車と何が違いますか?
ゆふいんの森や指宿のたまて箱が毎日同じ区間を走るのに対し、36ぷらす3は曜日ごとに区間が変わり、1回の乗車が半日以上になります。乗ること自体が一日の予定になる列車です。九州の観光列車全体の整理は九州の観光列車のコラムをご覧ください。
関連情報
本ガイドは2026年10月時点の情報をもとに作成しています。 運転日・ダイヤ・停車駅・食事・料金などの最新情報は、運行会社の公式サイトをご確認ください。
- 列車公式: JR九州「36ぷらす3」
- 運行会社公式: JR九州
- 木曜ルートの経由路線: 肥薩おれんじ鉄道