引退が決まった列車に今のうちに乗る|500系・嵯峨野トロッコ・ろくもんほか、終わりが見えている車両と列車の整理
💡 まずはここだけ!3つの要点
- いちばん急ぐのは嵯峨野トロッコの現行車両(2026年の営業で引退)。次が500系新幹線(2027年1月に定期運転終了)
- 時間に余裕があるのはしなの鉄道の115系とろくもん(ろくもんは2029年3月の引退予定)。ただし「まだ先」と思った列車から順に乗り逃す
- 載せているのは運行会社が引退・運行終了を発表済みのものだけ。噂や推測は入れていません(2026年10月時点)
「いつか乗ろう」と思っている列車はありませんか。鉄道の世界では、その「いつか」に期限が書かれることがあります。2026年10月時点で引退・運行終了が発表されている列車を、残り時間の短い順に並べました。
2026年、北海道で「いつか」が終わった
まず、間に合わなかった話から始めます。2026年、北海道を代表する観光列車が2本、相次いで線路を去りました。
ひとつは富良野線の「富良野・美瑛ノロッコ号」。ラベンダー畑の季節に、風を受けて走るトロッコ風の客車で丘のあいだをゆっくり走る列車で、2026年9月の運転をもって運行を終えました。もうひとつは釧網本線の「くしろ湿原ノロッコ号」。1989年に初代がデビューし、釧路湿原の中をトロッコ風の客車で抜ける列車として37年走り続けましたが、JR北海道は2026年8月に車両の老朽化を理由とする運行終了を発表。10月上旬のラストラン運転で幕を下ろしました。
くしろ湿原ノロッコ号の場合、発表からラストランまでは2か月ほどしかありませんでした。夏休みの終わりに知って、秋の連休はもう満席——という人も少なくなかったはずです。引退の発表は、いつも十分な余裕を持って届くとは限らない。これが、この記事を書いた理由です。
なお、釧網本線ではキハ143形を改造した新しい観光列車「赤い星」「青い星」が計画されており、当初の2026年内から2027年へ運行開始が延びたと報じられています。終わる列車があれば、始まる列車もある。ただ、同じ列車にもう一度乗ることはできません。
終わりが見えている列車・車両の一覧
2026年10月時点で、運行会社が引退や運行終了の時期を発表している主な列車・車両は次のとおりです。旅行のついでに乗れる、または見に行けるものに絞っています。
| 列車・車両 | 運行会社 | 終わりの時期(発表ベース) | 乗れる? |
|---|---|---|---|
| 嵯峨野トロッコ列車の現行車両 | 嵯峨野観光鉄道 | 2026年の営業運転をもって引退 | 乗れる(年末まで) |
| 500系新幹線(こだま) | JR西日本 | 2027年1月13日に定期運転終了、7月に引退 | 乗れる |
| ドクターイエロー(T5編成) | JR西日本 | 2027年1月に検測走行を終了 | 乗れない(見るだけ) |
| しなの鉄道の115系(普通列車など) | しなの鉄道 | 2028年3月までに順次引退の見通し | 乗れる |
| ろくもん | しなの鉄道 | 2029年3月に引退予定 | 乗れる |
ここから、残り時間の短い順にひとつずつ見ていきます。
残り数か月 — 嵯峨野トロッコの「今の車両」
京都・嵐山のトロッコ嵯峨駅からトロッコ亀岡駅まで、保津川の渓谷に沿って7.3kmを約25分で走る嵯峨野トロッコ列車。1991年の開業以来、ディーゼル機関車のDE10形が、貨車を改造した客車を引いて走ってきました。運行会社の嵯峨野観光鉄道は、この現行車両を2026年の営業運転をもって引退させ、2027年春に新しい車両を導入すると発表しています。
新しい車両は、天井と側面がガラス張りになり、座席の間隔や通路の幅も広がる予定です。快適さでは新型が上回るでしょう。それでも、ガタゴトと揺れる素朴な客車で渓谷を下るあの感覚は、今の車両だけのものです。嵯峨野トロッコは例年、冬のあいだは運休するので、現行車両に乗れるのは実質この秋から年末まで。紅葉の季節と重なるぶん、席はかなり取りにくくなります。路線の詳しい乗り方は関西の観光列車ガイドで整理しています。
あと数か月で「定期」が終わる — 500系新幹線
1997年、「のぞみ」として営業運転で時速300kmを実現した500系。鋭く尖った長いノーズと円筒形の車体は、新幹線の中でもひときわ印象に残る姿です。のぞみの座を後継車両に譲ってからは、編成を8両に短くして山陽新幹線の「こだま」(新大阪〜博多)で走ってきました。
JR西日本は2026年6月、500系を引退させると発表しました。予定では2027年1月13日で定期列車としての運転を終え、その後は臨時列車などで走ったのち、2027年7月に営業運転を終了します。2026年8月末には、編成のひとつがツアー形式で先にラストランを迎えました。
乗るうえで知っておきたいのは、500系がいつ、どのこだまで走るかは日によって変わるという点です。JR西日本は特設ページで500系の運転計画を公開しているので、乗りたい日に500系が入る列車を確認してから指定席を取るのが確実です。こだまの指定席なら特急料金はのぞみより抑えめで、各駅に停まるぶん、ゆっくり車内を味わえます。
同じ特設ページでは、ドクターイエロー(T5編成)の引退も案内されています。新幹線の線路や架線の状態を走りながら測る検測車で、2027年1月に検測走行を終える予定です。こちらは一般の旅行者が乗れる列車ではなく、走る日も公表されていません。JR東海の編成はすでに2025年1月に引退しており、名古屋市のリニア・鉄道館で展示されています。JR西日本の編成も、7号車を広島県江田島市の研修施設で保存し、2027年9月から公開する予定だと発表されています。
2年あまりの猶予 — しなの鉄道の115系
長野県のしなの鉄道では、国鉄時代に造られた115系電車が今も普通列車などで走っています。1997年の長野新幹線開業でJRから引き継いだ車両で、首都圏から近いところで国鉄型の電車にふつうの運賃で乗れる路線は、今では珍しくなりました。
この115系は、新型車両への置き換えで2028年3月までに順次引退する見通しと報じられています。しなの鉄道は引退が近いことを受けて、115系の撮影会を2027年2月まで毎月開くとしています。特別な予約もいらず、ふつうの運賃で乗れる列車ほど、「いつでも乗れる」と後回しにされがちです。軽井沢や小諸、上田への旅のついでに、ふだん使いの国鉄電車に揺られてみるのも一案です。しなの鉄道の成り立ちは並行在来線のコラムで解説しています。
いちばん先、でも油断できない — ろくもん
同じしなの鉄道の観光列車「ろくもん」も、115系を改造した車両です。真田家の家紋・六文銭にちなむ赤い3両編成で、2014年7月のデビュー以来、軽井沢〜長野を食事付きプランなどで走ってきました。しなの鉄道は、車両の老朽化を理由に2029年3月に引退させると発表しています。後継の観光列車については「今後検討」としており、まだ決まっていません(2026年10月時点)。
この一覧の中では、もっとも時間に余裕がある列車です。ただ、ろくもんは金曜〜月曜を中心に基本1日1往復で、食事付きプランは早めに埋まることもあります。引退の時期が近づくほど予約は取りにくくなるはずなので、「最後の年に乗ろう」より「次の信州旅行で乗ろう」のほうが、結果的に確実です。
引退前に乗るなら、知っておきたい4つのこと
引退が決まった列車は、発表のあとから急に乗りにくくなっていきます。乗り逃さないために、押さえておきたいことを挙げておきます。
- 最終日より「少し前」を狙う: ラストラン当日や最後の週末は、乗りたい人と見送る人で駅も車内も混み合います。落ち着いて乗りたいなら、引退の数か月前までに乗っておくのが安心です
- 「定期運転の終了」と「引退」は別の日: 500系のように、定期列車を終えたあとも臨時列車やツアーで走る期間がある場合があります。ただし臨時列車は本数が少なく、ツアーは抽選になることもあります。ふつうに乗れるのは定期運転のうちです
- 運転計画は公式で確認する: 引退が近い車両は、同じ列車名でも日によって別の車両が入ることがあります。乗りたい車両が本当にその日に走るか、運行会社の発表を確認してから予約してください
- 宿は列車の日付が決まった時点で押さえる: 引退が話題になると、沿線の週末は宿も早く埋まります。列車の席と宿は、同時に探しておくと旅程が崩れにくくなります
まとめ — 「いつか」に日付を入れる
引退が発表された列車には、カレンダーに書ける締切があります。嵯峨野トロッコの現行車両は2026年の年末まで、500系の定期運転は2027年1月まで、しなの鉄道の115系は2028年春ごろまで、ろくもんは2029年3月まで。北海道のノロッコ号のように、発表から数か月で姿を消す列車もありました。
一方で、この記事に載せたのは「発表済み」の列車だけです。古い車両の中には、まだ引退時期が公表されていないだけで、数年のうちに置き換えられるものも少なくないでしょう。終わりが見えている列車は、言い換えれば乗る計画が立てやすい列車でもあります。
次の旅行を考えるとき、行き先と一緒に「この区間で、もうすぐ引退する車両は走っていないか」を調べてみてください。最後に乗った記憶は、たぶん最初に乗った記憶よりも長く残ります。
よくある質問
Q. ラストランの列車には乗れますか?
列車によって違います。ふだんどおりの定期列車として最終日を迎える場合は、指定席の発売日に予約できれば乗れます。一方、記念の臨時列車やツアー形式になる場合は、旅行商品として販売されたり抽選になったりすることがあり、倍率が高くなりがちです。確実に乗りたいなら、最終日にこだわらず早めに乗っておくのがおすすめです。
Q. 引退が噂されている列車は載せないのですか?
この記事では、運行会社が引退や運行終了の時期を発表した列車だけを扱っています。噂や推測で「もうすぐ引退」と書くと、実際には走り続ける列車について誤った情報を広めてしまうおそれがあるためです。新たに発表があれば、記事を更新していく予定です。
Q. 引退したあとの車両は見られますか?
車両によっては、保存・展示されることがあります。たとえばJR東海のドクターイエローは名古屋市のリニア・鉄道館で展示されており、JR西日本のドクターイエローも先頭車1両を広島県で保存・公開する予定と発表されています。ただし、すべての車両が保存されるわけではありません。走っている姿を見られるのは、引退までの間だけです。
関連情報
本コラムは2026年10月時点の情報をもとに作成しています。 引退の時期・最終運転日・運転計画は変更されることがあるため、最新情報は各運行会社の公式サイトをご確認ください。
- JR西日本「500系新幹線&ドクターイエロー ラストラン」: JRおでかけネット 特設ページ
- 嵯峨野観光鉄道「嵯峨野トロッコ列車」: 公式サイト
- しなの鉄道(ろくもん・115系): 公式サイト
- JR北海道(ノロッコ号・新しい観光列車): 公式サイト