1〜2時間で乗れる短距離の観光列車という選択肢|あをによし・青の交響曲・べるもんた型の楽しみ方

最終更新: 2026年10月 / カテゴリ: コラム・考察

短距離の観光列車 おすすめと楽しみ方|1〜2時間で乗れる列車

💡 まずはここだけ!3つの要点

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観光列車って一日がかりのイメージやったけど、35分のやつとかあるんや。それなら気軽に乗れそう

観光列車に乗ってみたい。でも片道3時間、食事つきで半日——と聞くと、旅程のどこに入れればいいのか急に悩ましくなります。実は観光列車には、1〜2時間で降りられる短いものがちゃんとあります。その楽しみ方を、3つの型に分けて考えます。

ご注意: 本記事は2026年10月時点で公開されている情報をもとに、筆者の解釈で整理した 解説コラム です。 乗車時間はおおよその目安で、運転日・本数・車内サービス・きっぷの種類は変更されることがあります。 最新の運転日や発売状況は JR西日本「JRおでかけネット」の観光列車ページ をはじめとする各運行会社の公式情報でご確認ください。 ※ 本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。

「長く乗るほど観光列車らしい」は本当か

観光列車というと、豪華な内装で数時間かけて海沿いを走り、車内でコース料理が出てくる——そんな姿を思い浮かべる人が多いはずです。実際、看板列車の多くはそうした「乗ること自体が一日のメイン」の設計になっています。

ただ、そのぶん旅程の自由度は下がります。往復するなら半日以上が列車に吸い込まれ、目的地での観光時間は削られる。運転日に合わせて宿を取り、食事の予約締切を気にして——と、列車を中心に旅全体を組み替える必要が出てきます。「乗ってみたいけど、そこまで本気の旅程は組めない」という人が少なくないのは自然なことです。

そこで目を向けたいのが、乗車時間が1〜2時間以内の観光列車です。移動の途中に差し込める長さなので、旅の主役を奪わない。それでいて、窓の外の景色も、内装も、車内で何かを味わう時間も、観光列車の「主成分」はきちんと入っています。短いことは、欠点ではなく設計なのです。

短距離の観光列車は、3つの型に分けられる

全国の短い観光列車を眺めると、旅程のなかでの役割によって、おおむね3つの型に整理できます。代表として近鉄の「あをによし」「青の交響曲」、JR西日本の「べるもんた」を据え、ほかの列車も当てはめてみます。

型代表例乗車時間の目安旅程での役割
① 移動置き換え型 あをによし(京都・大阪難波〜近鉄奈良) おおよそ35分 どうせ移動する区間を観光に変える
② 片道小旅行型 青の交響曲(大阪阿部野橋〜吉野) おおよそ1時間20分 都市から山や海へ、列車ごと出かける
③ 地元列車型 べるもんた(城端線・氷見線) 1時間弱が目安 ローカル線そのものを味わいに行く

① 移動置き換え型 — 「あをによし」の35分

近鉄の観光特急「あをによし」は、京都・大阪難波と近鉄奈良を結んでいます。2022年4月のデビューで、乗車時間はどの区間もおおよそ35分。紫檀を思わせる深い紫の車体に正倉院の宝物をモチーフにした装飾をまとい、車内はサロンシートやツインシートなど向かい合う席が中心です。

この列車の面白さは、乗らなくても奈良には行けるところにあります。京都から奈良へは、ふつうの特急や急行でも移動できる。つまり「あをによし」は目的地へ運ぶための列車というより、どのみち発生する移動の35分を、観光の35分に置き換えるための列車です。旅程を何ひとつ削らずに観光列車が1本増える——この型の価値はそこに尽きます。

乗るには乗車券に加えて特急券と特別車両券が必要です。車内の販売カウンターでは、この列車限定のスイーツや軽食、クラフトビールなどが売られていますが、35分は思ったより短いので、席についたら早めに注文するくらいのテンポがちょうどよいでしょう。

② 片道小旅行型 — 「青の交響曲」の1時間20分

同じ近鉄の「青の交響曲(シンフォニー)」は、大阪阿部野橋から吉野までをおおよそ1時間20分で走ります。2016年9月のデビューで、濃紺の3両編成。中間の車両はバーカウンターとラウンジになっていて、カウンターで買った飲み物や軽食を片手に、車窓が都市から山里へ移り変わっていく様子を眺められます。

①との違いは、列車に乗ること自体が「出かける」行為になっている点です。目的地の吉野は、桜の名所として知られる山の町。大阪の都心から乗り込んで、降りたらもう山の空気——という落差が、1時間ちょっとの間に体験できます。日帰りで往復するなら、片道だけ「青の交響曲」、もう片道はふつうの特急や急行という組み方も現実的です。

③ 地元列車型 — 「べるもんた」の1両

JR西日本の「べるもんた」は、富山県のローカル線を走る1両だけの観光列車です。正式名は「ベル・モンターニュ・エ・メール」(フランス語で「美しい山と海」)。2015年、北陸新幹線の金沢開業と同じ年に登場しました。土曜は城端線(新高岡・高岡〜城端)、日曜は氷見線(高岡〜氷見)と、曜日で走る線区が変わるのが特徴で、乗車時間はどちらもおおむね1時間弱が目安です。

定員は39名ほど。車内は井波彫刻や高岡銅器をモチーフにした、ギャラリーのような空間です。そして名物が、車内ですし職人が握る富山湾のすし(事前予約制)。地元の小さなローカル線の1両に、その土地の工芸と食がぎゅっと詰め込まれています。

きっぷの面でも、この型は気軽です。乗車券に座席指定券を足すだけで乗れ、特急料金はかかりません。ただし、すしや食事セットは乗車券とは別の予約で、乗車の数日前に締切が来ます。「席だけ取って、食事はあとで」と思っていると間に合わないことがあるので注意が必要です。

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1両しかないローカル線で、職人さんがすし握ってくれるってどういう状況...氷見のブリとか出てきたら泣くぞ

ほかの列車を当てはめると

3つの型は、全国のほかの短い観光列車にも当てはまります。たとえば次の2本です。

逆に言えば、看板の長距離観光列車でも、一部区間だけ乗ることで短距離型として使える場合があります。途中駅での乗り降りが可能かどうかは列車やプランによって違うので、それぞれの発売条件を確認してみてください。

短いことが、そのまま利点になる

短距離の観光列車を選ぶ理由は「時間がないから妥協する」ではありません。短いからこそ得られるものが、いくつかあります。

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3時間座りっぱなしはアラフォーの腰的にちょっと怖いけど、1時間ならいけるわ。むしろちょうどいい

ただし、短い列車ほど「本数」と「席」に注意

気軽に乗れる——とはいえ、短距離の観光列車にも共通の落とし穴があります。いちばんは運転日と本数の少なさです。「べるもんた」は基本的に土日のみ(祝日の一部にも運転)、「青の交響曲」は1日2往復が基本で、水曜日は運休日になっています。観光特急には、このように定休日のような運休日が設定されていることがあります。「この日の午後に乗ろう」と思っても、列車がない日だったということは十分に起こりえます。

次に席数です。1両で40席に満たない列車もあれば、3〜4両の観光特急でも、ふつうの特急に比べれば座席はずっと少なめです。紅葉や桜の季節、連休はすぐに埋まることがあります。多くの列車は乗車日の1か月前から指定席を発売しているので、日程が決まったら早めに押さえておくのが安全です。

そしてもうひとつ、乗り継ぎの時間。短い列車を新幹線や特急と組み合わせる旅では、乗り換えに余裕がないと、楽しみにしていた1本を逃してしまいます。本数が少ない列車ほど、逃したときの代わりがありません。時刻は改正で変わるため、旅程を組む段階で各社の公式時刻表を確認してください。

観光列車が走る区間をマップで見る

短い観光列車が、地図の上でどこからどこへ向かうのか。シミュレーション表示で、おおよその走行イメージと周辺の路線との位置関係をつかめます。

マップを開く →

1日の旅程に、どうはめ込むか

3つの型は、旅程への入れ方もそれぞれ違います。モデルとなる組み方を挙げておきます(いずれも運転日・時刻を事前に確認する前提です)。

① 移動置き換え型: 拠点の移動日に入れる

京都に泊まって翌日は奈良へ——という移動日に「あをによし」を入れるのが、いちばん素直な使い方です。京都で朝の観光を済ませてから乗れば、奈良には昼前後に到着。東大寺や興福寺、奈良公園を午後に回れます。移動そのものが観光になるので、旅程の総時間はふつうの特急で移動する場合とほとんど変わりません。

② 片道小旅行型: 片道だけ観光列車にする

大阪に泊まる旅なら、行きを「青の交響曲」で吉野へ、帰りはふつうの特急や急行で戻る——という組み方が現実的です。片道を観光列車にするだけで、日帰りの小旅行が「観光列車の旅」に変わります。吉野の山歩きや金峯山寺の参拝のあと、帰りは身軽に好きな時間で戻れるのも利点です。

③ 地元列車型: 週末の「その土地の1日」に入れる

「べるもんた」のように週末だけ走る地元列車は、その土地に泊まる旅の土曜・日曜に合わせて組みます。北陸新幹線で新高岡へ入り、土曜なら城端線で城端・砺波方面へ、日曜なら氷見線で雨晴海岸や氷見へ。高岡の町歩き(瑞龍寺や高岡大仏)と組み合わせれば、富山県西部を1日で味わう旅になります。北陸新幹線の乗り方はかがやき・はくたかのガイドで整理しています。

いずれの型でも、軸になるのは列車の運転日です。運転日を先に決め、その日程で宿を押さえ、そこへ向かう新幹線や特急を組む——観光列車の旅は、この順番を守ると崩れにくくなります。短い列車でも、観光地の週末は宿が埋まりやすいので、列車の席と宿は同時に見ておくと安心です。

観光列車の運転日にあわせて、沿線の宿の空きを見比べてみる

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まとめ — 観光列車は「足し算」で使える

長い観光列車は、旅のほかの予定を削って乗る「引き算」の乗り物になりがちです。それに対して1〜2時間以内の短い観光列車は、旅程を崩さずに楽しみを1つ増やせる「足し算」の乗り物でした。移動を置き換える「あをによし」型、片道の小旅行に仕立てる「青の交響曲」型、地元のローカル線を味わう「べるもんた」型——自分の旅のどこに差し込めるかで選べば、観光列車はぐっと身近になります。

なお「べるもんた」が走る城端線・氷見線は、2029年度をめどにJR西日本からあいの風とやま鉄道へ移管される予定で、あわせて車両も新型へ置き換えると報じられています(2026年10月時点)。嵯峨野トロッコの現行車両も年内で引退の予定です。短い列車ほど「いつでも乗れる」と思いがちですが、いつまでも同じ姿で走っているとは限りません。

次に旅程を組むとき、移動の区間をひとつ選んで「ここを走る観光列車はないか」と調べてみてください。35分でも、1時間でも、窓の外が少し違って見えるはずです。いつもの移動が、旅の思い出のひとつに変わります。

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トロッコの今の車両、年内で引退なんか。紅葉シーズンに一回乗っとかんと後悔しそうやな

よくある質問

Q. 短い観光列車でも、予約は必要ですか?

多くの観光列車は全席指定で、乗車券に加えて指定席券や特急券などが必要です。空席があれば当日に駅で買える場合もありますが、席数が少ない列車や週末・行楽シーズンはすぐに埋まることがあります。乗る日が決まっているなら、発売開始(多くは乗車日の1か月前)に合わせて予約しておくのが確実です(2026年10月時点)。

Q. 車内で食事はできますか?

列車によって違います。「あをによし」や「青の交響曲」は車内でスイーツや飲み物を販売しており、「べるもんた」は事前予約制のすしや食事セットがあります。予約制の食事は乗車券とは別の締切が設定されていることが多いので、早めに確認してください。食事の扱いの違いは観光列車の食事つきプランのコラムで詳しく整理しています。

Q. 往復とも観光列車に乗ったほうがいいですか?

必須ではありません。片道だけ観光列車にして、もう片道はふつうの特急や普通列車で戻るほうが、時間の自由が利いて旅全体が組みやすくなることもあります。本数の少ない列車では、往復とも合わせようとすると現地の滞在時間が窮屈になる場合があるので、旅程に合わせて選ぶとよいでしょう。

関連情報

本コラムは2026年10月時点の情報をもとに作成しています。 運転日・本数・車内サービス・きっぷの種類は変更されることがあるため、最新情報は各運行会社の公式サイトをご確認ください。