東北の観光列車 完全ガイド|リゾートしらかみ・TOHOKU EMOTION・ひなび・SATONO、いま走っている列車と乗り方
💡 まずはここだけ!3つの要点
- 東北のJR観光列車は「のってたのしい列車」と呼ばれるシリーズ。現在の主力はリゾートしらかみ・TOHOKU EMOTION・ひなび(陽旅)・SATONO・ポケモントレインの5本と、季節運転のトロッコ列車
- 多くは毎日運行ではなく、週末・休日や季節ごとの設定。旅程より先に「運転日カレンダー」を見るのが東北の観光列車旅のコツ
- きっぷ(乗車券+指定席券)だけで乗れる列車と、食事つきの旅行商品でしか乗れない列車があり、この違いが予約の難易度を大きく変える
東北は、日本のなかでも観光列車の入れ替わりが激しいエリアです。長く親しまれた列車が引退し、その翌年には新しい列車が走り始める。だから「前に調べたときの知識」が、驚くほどあっさり古くなります。この記事では、2026年9月時点で東北を走っているJR東日本の観光列車を、運行区間・食事の有無・予約方法という実用的な軸で整理します。あわせて第三セクターの名物列車と、旅程を組むときの順番も解説します。
「走るカフェ」が終点に着いた日 — 東北の観光列車は世代交代した
東北の観光列車の現在地を理解するには、ひとつの列車の引退から話を始めるのが早道です。フルーティアふくしま——福島県産のフルーツを使ったスイーツとドリンクを車内で提供する、「走るカフェ」をうたった列車がありました。2015年のデビュー以来、磐越西線などを走り、喫茶店がそのまま線路に乗ったような独特の存在として人気を集めます。
その運行が終わったのが2023年12月でした。理由は車両の老朽化。改造のベースになっていた電車が、そもそも長く走ってきた車両だったためです。名物列車がひとつ消えた——それだけなら寂しい話で終わります。ところが東北の場合、話はここから動きます。
フルーティアが去った翌年の2024年4月、SATONO(さとの)が運行を開始しました。しかもこの車両、青森エリアで走っていた観光列車「リゾートあすなろ」を改造したもの。さらにその少し前、2023年12月にはひなび(陽旅)が北東北でデビューしています。引退と登場がほぼ同時に起きていたわけです。
つまり東北の観光列車は、いまラインナップが丸ごと入れ替わった直後の状態にあります。「昔乗った列車がまだあるはず」という前提で調べると空振りしやすいのは、このためです。
いま東北で乗れるJR東日本の観光列車
JR東日本は自社の観光列車を「のってたのしい列車」というシリーズ名でまとめています。東北エリアで現在その中心にいるのが、次の顔ぶれです。
| 列車名 | 主な運行区間 | 持ち味 |
|---|---|---|
| リゾートしらかみ | 秋田 〜 弘前・青森(五能線経由) | 日本海に沿って走る看板列車。車窓+車内イベント |
| TOHOKU EMOTION | 八戸 〜 久慈(八戸線) | 食事が主役のレストラン列車。乗車は旅行商品 |
| ひなび(陽旅) | 盛岡 〜 釜石ほか北東北各線 | 季節ごとに区間を変える回遊型。北東北を巡る |
| SATONO(さとの) | 郡山 〜 喜多方ほか南東北各線 | フルーティア後の南東北の主役。区間で愛称が変わる |
| POKÉMON with YOU トレイン | 一ノ関 〜 気仙沼(大船渡線) | 子ども連れ向け。プレイルーム車を連結 |
| びゅうコースター風っこ | 只見線ほか各線(臨時) | 窓を外して走るトロッコ風車両。季節運転 |
上の区間はあくまで代表的なもので、観光列車は時期によって走る線区そのものが変わることがあります。「この列車はこの線でしか走らない」と決めつけないのが、東北では正解に近いです。
リゾートしらかみ — 東北の観光列車といえば、まずこれ
秋田と弘前・青森を、日本海沿いの五能線経由で結ぶ列車です。東北の観光列車のなかでは運転日が多く、初めての一本として選びやすい存在でもあります。
見どころは、断崖と海がひたすら続く五能線の車窓。加えて、津軽三味線の生演奏や、景色の良い場所での観光停車といった車内イベントが運転日によって設定されます。編成は複数あり、それぞれ内装が異なるため、「どの編成に当たるか」自体が旅の話題になります。詳しくは リゾートしらかみと五能線 で解説しています。
TOHOKU EMOTION — 走っているのは、ほぼレストラン
八戸線の八戸〜久慈を走る、食事が主役の列車です。車内にはライブキッチンがあり、調理された料理が席に運ばれてきます。ここが他の観光列車と決定的に違う点で、乗車そのものが食事つきの旅行商品として売られており、きっぷだけでは乗れません。
往路はコース料理、復路はデザートを中心とした内容、という組み立てが基本です。太平洋を望む車窓と料理が同時に来る構成なので、移動というより「三陸沿いを走るレストランの予約を取る」感覚に近い列車といえます。
ひなび(陽旅) — 北東北を季節でめぐる新顔
2023年12月にデビューした、北東北を担当する観光列車です。ハイブリッド車両のHB-E300系を使い、盛岡〜釜石(釜石線)をはじめ、青森・岩手の各線区を季節ごとに区間を変えながら走ります。
ひとつの区間に居着かないのが、この列車のおもしろさです。同じ列車名でも、春と秋では走っている県が違うことすらあります。逆にいえば「乗りたい区間で走る時期」を狙う必要があるので、運転日カレンダーとの付き合いが必須になります。
SATONO(さとの) — 南東北の、名前が変わる列車
2024年4月に運行を始めた、南東北エリアの観光列車です。車両は青森で活躍していた「リゾートあすなろ」をリニューアルしたもの。フルーティアふくしま引退後の福島・会津方面を引き継ぐ形になりました。
特徴的なのが走る線区によって愛称が変わること。磐越西線の郡山〜喜多方では「あいづSATONO」、山形の左沢線では「さくらんぼSATONO」、さらに五能線に出張する設定が組まれたこともあります。会津の街並みや磐梯山、果樹地帯といった南東北らしい車窓を、季節に合わせて配り歩いているような列車です。
POKÉMON with YOU トレイン — 子ども連れの本命
大船渡線の一ノ関〜気仙沼を走る、車内がポケモン一色の列車です。座席のほかにプレイルームを備えた車両が連結されており、小さな子ども連れの旅にはこれ以上ないほど刺さります。東日本大震災からの復興を応援する趣旨で走り始めた列車でもあり、沿線では地域のイベントと連動することもあります。
びゅうコースター風っこ — 窓がない、という贅沢
窓ガラスを取り外して走れるトロッコ風の気動車です。特定の区間に固定されておらず、只見線をはじめ各地の路線へ臨時列車として出張していきます。夏は風をそのまま浴びる列車として、寒い時期はストーブを積んだ企画列車として走ることもあり、「どこに現れるか」を追いかける楽しみがあります。
東北の「となり」も強い — 海里とSLばんえつ物語
エリアの境目をまたぐ2本も、東北の旅に組み込みやすい列車です。
ひとつは海里(KAIRI)。新潟から日本海沿いを北上し、山形県の酒田まで走る観光列車です。庄内へ入る足として使えるうえ、特急ではなく快速なので指定席券で乗れる席があります。もうひとつがSLばんえつ物語。新潟県の新津から福島県の会津若松まで、磐越西線を蒸気機関車が客車を引いて走ります。煙を上げて阿賀野川沿いを行く姿は、東北方面へ向かう旅の入口としてかなり印象に残ります。
第三セクターの観光列車も見逃せない
東北の観光列車はJRだけではありません。むしろ「その土地でしか成立しない」濃さでは、地方鉄道のほうが上をいく場面もあります。
- 津軽鉄道 ストーブ列車(津軽五所川原〜津軽中里): 冬季運転。客車にだるまストーブを積み、車内でスルメをあぶってくれる名物列車
- 三陸鉄道(盛〜久慈): レトロ調車両の座席列車のほか、冬はこたつを備えた列車が走る。三陸の海沿いを行く
- 秋田内陸縦貫鉄道(鷹巣〜角館): 縄文やマタギをテーマにした車両や、内装を作り込んだ「笑EMI」などが在籍
- 会津鉄道 お座トロ展望列車(会津若松〜会津田島): お座敷・トロッコ・展望席を1本の列車に同居させた構成
- 弘南鉄道(弘前〜黒石ほか): お座敷車両を使った不定期の企画列車が走ることがある
- 由利高原鉄道(羽後本荘〜矢島): 木のおもちゃで遊べる車両など、子ども向けの企画が手厚い
これらは運転日・運転時期がJR以上に季節依存で、冬季限定のものも少なくありません。行き先を決めてから調べるより、「その季節に走っているもの」から逆算するほうが当たりを引きやすいジャンルです。
どれに乗る? — 3タイプで選ぶと迷わない
候補が多すぎて決められないときは、「何を目的にするか」で3つに割ると早いです。
車窓型 — 景色そのものが目的
リゾートしらかみ、海里、びゅうコースター風っこ。海沿いや渓谷を、速さを捨てて走るタイプです。座席の向きと左右が満足度を左右するので、予約時に海側・山側を意識して選ぶ価値があります。食事は駅弁や車内販売で足りるので、予約のハードルは比較的低めです。
食事型 — 車内で食べることが目的
TOHOKU EMOTION が代表格で、SATONO やひなびでも食事つきのプランが設定されることがあります。旅行商品として売られるため、発売日とともに枠が埋まりやすいのが特徴。日程を先に固めて、発売開始に合わせて動くのが基本戦術になります。
家族型 — 子どもが退屈しないことが目的
POKÉMON with YOU トレイン、由利高原鉄道のおもちゃ列車、三陸鉄道のこたつ列車など。移動時間そのものをアトラクションに変えてくれる列車です。「長距離移動=ぐずる」という前提が崩れるので、家族旅行の日程を組みやすくなります。
予約のコツ — 旅程より先に、運転日カレンダーを見る
東北の観光列車で失敗しがちなのが、先に宿と日程を決めてしまうことです。多くの列車は毎日走っていないため、後から列車を当てはめようとすると、その週末だけ運転がない、という事態が普通に起こります。順番を逆にして、運転日を先に押さえるのが確実です。
- 公式の運転日カレンダーで、乗りたい列車が走る日を確認する
- その日を軸に、宿と前後の移動(新幹線・特急)を組む
- 指定席券なら発売開始日を、旅行商品なら申込開始日を押さえて予約する
きっぷで乗れる列車の指定席は、えきねっとや駅の窓口・指定席券売機で購入できます。発売は原則として乗車日の1か月前からで、人気の列車や連休は発売直後に埋まることがあります。一方、TOHOKU EMOTION のような食事つき商品は旅行商品としての取り扱いになり、申込の窓口も期限も別なので、同じつもりで構えていると取り逃します。
宿のほうは、運転日が決まってから動けば十分です。秋田・弘前・八戸・盛岡・会津若松・鶴岡あたりは週末の予約が早いので、楽天トラベルなどで空室の状況を先に眺めておくと、運転日のどちらに泊まるかを決めやすくなります。料金や条件は時期によって変わるため、購入時に最新の内容をご確認ください。
旅程の組み立て方 — 「片道だけ観光列車」が現実的
観光列車は本数が少なく、往復ともに乗ろうとすると日程が一気に窮屈になります。おすすめは片道だけ観光列車、もう片道は新幹線や特急という組み方です。
たとえば秋田へこまちで入り、帰りにリゾートしらかみで青森方面へ抜ける。あるいはときで新潟に入って海里で庄内へ北上し、帰りは特急いなほで戻る。南東北なら、つばさで山形・福島方面に入って SATONO を1本だけ挟む形が組みやすくなります。
観光列車は「速く着くための手段」ではありません。片道を素直に新幹線へ任せてしまうほうが、結果として観光列車に乗る時間をゆっくり味わえます。
まとめ — 「いま走っているもの」から旅を決める
東北の観光列車は、名物が引退しては新しい列車が現れる、入れ替わりの早いジャンルです。だからこそ、行き先を先に決めて列車を探すより、その季節に走っている列車から旅を組み立てるほうが満足度が上がります。
リゾートしらかみで海を眺め、TOHOKU EMOTION で料理を待ち、ひなびや SATONO で知らない県境を越える。どれも「移動のついで」ではなく、その列車に乗るために日程を空ける価値のある時間です。次に東北へ行く予定ができたら、宿より先に運転日カレンダーを開いてみてください。旅の形が、そこから決まっていきます。
よくある質問
Q. 東北の観光列車は、きっぷだけで乗れますか?
列車によります。リゾートしらかみやひなび、SATONO のように乗車券+指定席券で乗れる席が用意されている列車がある一方、TOHOKU EMOTION のように食事つきの旅行商品としてのみ発売される列車もあります。乗りたい列車ごとに、発売方法を先に確認するのが確実です。
Q. フルーティアふくしまにはもう乗れませんか?
フルーティアふくしまは2023年12月で運行を終了しました。福島・会津方面では、2024年4月に運行を開始した SATONO が磐越西線の郡山〜喜多方などで「あいづSATONO」として走っています。
Q. 毎日走っている観光列車はありますか?
東北の観光列車は、おおむね週末・休日や季節ごとの設定で、毎日運行ではないものがほとんどです。比較的運転日が多いのはリゾートしらかみですが、それでも運転日は時期によって変わります。必ず公式の運転日カレンダーをご確認ください。
Q. 子ども連れでも楽しめますか?
プレイルームを備えた POKÉMON with YOU トレイン(一ノ関〜気仙沼)や、木のおもちゃで遊べる由利高原鉄道の列車、冬のこたつ列車などが向いています。いずれも移動時間そのものが遊び場になるタイプなので、長い移動でも退屈しにくい構成です。
関連情報
本ガイドは2026年9月時点の情報をもとに作成しています。 運転日・ダイヤ・車両運用・座席設定・旅行商品の内容などの最新情報は、各運行会社の公式サイトをご確認ください。
- 運行会社公式: JR東日本(東日本旅客鉄道)
- 時刻・予約: えきねっと(JR東日本)